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経営者インタビュー

当社はいわゆるシステム会社として、BtoEのシステム開発ならびにソリューションの導入支援を行っています。当社で提供するシステム・ソリューションは、大きく分けて「売上アップに貢献するもの」と「コストダウンに役立てるもの」に分類できますが、いずれにしても、システムによってクライアントの事業成長を支援するのがアイディーエスの使命です。

クライアントの業種は、保険・証券や電機メーカといった付加価値の高い商材を扱う企業様が大半ですが、開発内容は多彩です。商品の在庫管理・業績管理などのBtoEシステムだけでなく、近年ではコンシューマ向けのiPhoneアプリも開発しており、最近はテーマパークなどの特定エリアで使うタイプのGPS連動アプリ開発にも注力しています。パーク内のユーザーが、現在地の情報をテーマパークアプリで参照することで、演劇の音声ガイドなどと同じように、リアルタイムの情報を入手できるというものです。こうしたiPhoneアプリはまだ少ないので、新しいジャンルとして開拓していきたいですね。

また、ECサイトの周辺システムとして、集客の次の段階のカスタマーサポートに役立つソリューションも開発しています。ECサイトはカスタマーサポートの際にメールフォームか電話でのアクションをユーザーに求めるのが一般的ですが、売上促進効果も狙い、ECサイト用チャットシステムを販売しています。リアルタイムにエンドユーザーと店舗がコンタクトを取れれば、実際の店舗にいるのとほとんど変わらない購買体験が得られます。それに、リコメンドエンジンなどとの併用で、ユーザーはクチコミとショップの両方の意見を参照し、購買選択をすることができるようになります。

クライアントはそれぞれの業界での成功を目指している分、システムの流行にも敏感ですので、私たちも積極的に、こうした新しい技術をソリューションに採り入れるようにしています。それと同時に「いいものを創る」ことにこだわっているため、基本的に開発業務はすべて社内で行っています。当社の在籍エンジニアは、アプリケーション開発者がほとんどです。クライアントの業務を理解した上で、それにフィットするWebベースのシステムを開発する。それが、アイディーエスのエンジニアのミッションです。

 

氏名

中野貴志 Takashi Nakano

出身地

大阪府寝屋川市で生まれ、1歳くらいまで暮らした後、鳥取県米子・愛知県名古屋に引っ越しました。出身地は?と訊かれたら寝屋川ですが、13歳まで過ごした鳥取・愛知の影響はかなり受けています。

私の好きなタイプの人

男前・女前(?)の人が好きです。志が高くフェアな人物は、表情に出ますよね。私の親友は全員、男前・女前です!

私の嫌いなタイプの人

なにごとにおいても「できない理由・やらない理由」から先に考えるタイプの人。きっと友達にはなれないと思います。

習慣にしていること

ペンを必ず2本持つこと。経済誌で「電通社員は全員ペンを2本持っている」と読み、打ち合わせなどで相手がペンを持っていないシーンというのは確かにあるのに、それに対して何のアクションも取らなかった自分に気付かされ、記事を読んで以来、戒めのために携行しています。

 
経営者インタビュー

私はアイディーエスの2代目の社長です。創業者の急逝を受けて2007年6月に社長に就任しました。技術責任者・営業責任者を経て、突然経営者の立場を任されたことになります。経営者は、技術・営業・経営という3つの仕事をこなさなければなりませんが、私自身は経営責任者を経験したことがありませんでしたので、経営にまつわる業務がことごとく初めての体験でした。

当時のメンバーである20数名の社員を引き受けること、同時に事業展開を進めることを課され、会社の仕組みを知るところから始めました。自社の人事制度なども詳しく知らないような中で、会社の方向性、将来像、資金調達のアプローチなど、従業員とシェアして行かねばなりませんでしたから、最初の一年間は死に物狂いで経営の勉強をしました。

大変だった時期をくぐり抜けることができたのは、昔からの知己の支えが大きいです。すでに社長職にあった友人や先輩、また社内のメンバーなど、たくさんの人からメンタル面での支援を受けました。それがなかったら難しかったでしょうね。色々な人に話を聞くことができ、本当に助けられました。人に恵まれたことに心から感謝をしています。

経営者インタビュー

当社は小さな会社ですので、スタッフには将来的に転職することになっても、より高い収入でオファーを受けられる人材になってほしいと思います。世間で通用する技術水準でいるために、世の中のレベルを常に意識しておいてほしいですね。そして、それは技術水準の話だけではなく、サービスの話にもつながります。

当社は「サービス力で世界一の会社になろう」という目標を、2年前から掲げています。この「サービス力」とはなにかというと、業務遂行上の契約内容にプラスアルファとしてあるべき部分です。いわば、クライアントやエンドユーザーへの「思いやり」ですね。それをスタッフにも持っていてほしいと思い、具体的な指標をクレドに盛り込みました。社員に目指してほしいこと、心がけてほしいことはすべてここに書いてありますが、基本的な方向性はひとつです。

時には、法的もしくは人としてのグレーゾーンに「踏み込むかどうか」という判断を迫られるケースもあると思いますが、クレドには「親に話せないようなことは、絶対にしません」という項目を設けています。これを判断基準にすれば、迷いは断ち切れますよね。クレドにはほかにも、先代社長から教わったことを中心に、「年をとっても勉強はし続けよう」や「人のいいところは積極的に真似しよう」といった倫理的な指標を記載しています。社員に求めるのは、つまるところ倫理的な人間像なのです。このクレドは普段、全員に持ち歩いてもらっていますし、必要に応じて読み合わせも行っています。

そして、優秀な人材としての基本的な要素に、コミュニケーションスキルがあります。当社ではコミュニケーションの基礎を身につけてもらうため、四半期ごとにあいさつ研修を実施しています。社内の自席でひたすら大声であいさつをするんですが、1時間くらい延々とみんなでやるので、酸欠で倒れる人も出るくらい激しいです(笑)。オフィス内で大きな声を出していいという習慣が、活気の維持にもつながっていますね。社員に求めるのは、技術・サービス倫理・コミュニケーションスキル。その習得に必要なことは、すべてここで身につけてもらえる環境です。

経営者インタビュー

「サービス力で世界一」を目指すのが当社の目標であり、その実現のために現在は状況を整備している段階です。従業員数は現在30名ですが、5年後には200名体制で事業展開を図れるよう、人事制度や会社規則なども、200人規模で運用可能なものを用意しています。海外展開も視野に入れており、一歩目は中国から踏み出したいですね。この業界ではオフショアで人件費の安い国に開発を委託するのが一般的ですが、こうした国々にサービスを輸出するという試みはまだほとんどありません。技術やスピードではなく、サービスレベルで勝負しつつ、中国市場に供給者として参入していけるよう、パスを模索しています。

当社には、海外のお客様からも選んでいただける理由がありますが、それは技術力・品質・価格ではありません。それらのカードで他国に勝つというのは非現実的です。人的リソースの平均化する昨今、我々が他国に勝てるとしたら、日本人らしい思いやりなどのサービス力が切り札になることでしょう。そういう方向性で戦略を練っていますので、エンジニアひとりひとりのあいさつスキルなども鍛えていますし、サービスの満足度を測るCSアンケート調査を、プロジェクトごとに実施して振り返りを行っています。CSアンケートでは耳の痛い話も出てきますが、お客様から教えていただいたことを着実に反映することで、自社の成長に必要な要素を抽出しています。このような情熱的な取り組みを示すため、以前は水色だったコーポレートカラーも赤系に一新しました。そして幹部社員の名刺には各自の携帯電話番号を記載し、『24時間365日、いつでも直接ご連絡ください』という表記を盛り込んでいます。実際に夜中にケータイが鳴ることはまずないのですが、こういう取り組みもサービスの一環です。

お客様の満足度追求は、スタッフで構成される委員会の活動にも大きく支えられています。現在「世界一の電話応対を目指そう委員会」「あいさつ委員会」などがあり、CSと並行してES(従業員満足度)を追求する「安全・安心委員会」も活動しています。安全・安心委員会は、オフィス内のネットワーク配線をつまづかないような形に整備したり、自主的に避難訓練を行って大事に備えたりしています。これらの委員会はすべて幹部会議で提案され、可決を経て発足したものです。当社の目標である「サービスで世界一」を実現するために欠かせない取り組みを、全社的に進めています。

経営者インタビュー

当社の会社説明会では、必ず私自身もスピーチをするようにしています。そこで学生とのディスカッションも行っており、いつも話すことがあります。今の時代の就活はとても大変で、私たちの世代のそれとは比べようもありません。適性検査を受ければ採用通知が来るような時代とは違うわけです。そして、今の不景気は、学生に責任がありません。ここまで景気を悪くした責任の一端は、我々ビジネスマンにあります。私たちのせいで今の学生さんに迷惑がかかっているという事実で、非常に胸が痛みます。なんとかしたいと思いますが、説明会に来てくれる人を全員採るわけにもいきません。ですからせめて伝えたいのが、「自分の価値観にもとづいて、リサーチを展開してください」ということです。

たとえばIT業界に入りたいという学生さんには、IT業界の構造を知っておいてもらいたいですね。そしてタテ構造のこの業界にあって、自分の行きたい会社が元請・下請・孫請のどの層にあるのかを把握し、実態をおおよそ掴んだ上で就活に臨むのがいいでしょう。受託業務にかかる人月と工数を概算すれば、新人の業務に対する報酬はある程度推測できます。およそ350万とか400万の年収が妥当だとして、しかし実際が異なる場合は、会社の制度が年功序列である可能性もありますね。お金の話になってしまってなんですが、「誰が得をするか」という観点で入りたい会社を観察してみるのもいいと思います。

IT業界は開発こそ最先端ですけれども、構造は旧態依然です。自動車業界などは日産のカルロス・ゴーン氏の就任以降、孫請などへの発注はなくなり、中間搾取の余地が一気になくなりました。それと同じように、この業界ではIBM社が開発を外注する際、孫請を禁止するなど制限を設けて、徐々に業界の仕組みは改善されています。ただ、一度孫請に回ってしまったら、元請に上るのは容易ではありません。当社は下請を一切しない方針で、15年かけて顧客リストを作ってきました。それは一度下請に入ると、そこからの脱却が難しいからです。

IT業界を目指す人は、こうした業界特性を踏まえた上で、自分の価値観に見合ったレイヤーを選択してください。将来、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントを目指すのであれば、最初から上流の会社に入るのが近道ですし、反対に現場の開発に勤しみたいなら、どこでも同じなわけですから、給与や社風から進路を選択しても問題ありません。

今の学生さんは、6~70社受けて受かったところに入る、といった就活が当たり前の時代に生きていますが、本来、就活というのは互いに信頼する相手と出会って道を共にする機会です。最善の選択を手にするために、企業を観察する自分の姿勢を、今一度振り返ってみましょう。

~18歳(~高校生)

勉強に価値を見出せず、卒業できるかどうかも危うい高校生活を送る。たまたま見たテレビで「20XX年にはコンピュータエンジニアが不足する」と聞き、それになろう!と決める。

18歳(専門学校1年生)

専門学校の高額な授業料(年間120万円)を巡り、両親からの言葉。父「一浪してでも大学へ行け」。母「絶対後悔しないように」。母の言葉が心に響き、一生で一番勉強した2年間を過ごし、卒業式では最優秀生徒賞を受賞。

20歳(社会人1年生)

アイネスに入社。企画部門に移り、アメリカに渡る。アメリカのソフトウェアを輸入販売する会社を興す。1年半ほどアメリカに滞在し、アイディーエスの創業者である熊谷氏と出会う。

27歳(社会人7年生)

マイクロソフトからオファーを受け、入社を決めるためのサインを控えて一瞬だけ迷う。「いつか社長になりたい」という若い頃からの気持ちを思い起こし、マイクロソフトへの入社をやめる。熊谷氏に「経営を教えてやる!」と言われてアイディーエスに入社。

30歳(社会人10年生)

熊谷氏から「責任を与えるなら権限も与えるべし」などのマネージメント訓戒をたくさん教わる。

36歳(社会人16年生)

アイディーエスの社長に就任。会社を引っ張るためにさまざまなことを学ぶ。